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母親に劇物、日記に症状の変化記録

 静岡の女子高校生が、母親に劇物の「タリウム」を飲ませて殺害しようとした事件で、逮捕された生徒は、男性の名前でインターネット上の日記、ブログを書いていたことが警察の調べで分かりました。


 「グルムグンシュー、岩本亮平の日記」というタイトルのブログ。


 「ステロイドの影響だろうか、(母は)顔のはれが目立っていた」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 女子生徒が書いたと見られるブログには、問題の劇物タリウム」に関する記述や、母親の症状が細かく記録されていました。このブログが始まったのは、今年の6月下旬です。


 「6月27日、日記を書き始めようと思います。学校の人はこのことを知らないので嫌なこととかも全て書くつもりです」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


Q.なぜ、少女はブログに母親の容体を書き込んだのか?
 「実験の観察だと思います。つまりタリウムという毒薬の効き方を人体実験した。実際に実験してみないと気が済まないという性格だからだと思います」(犯罪心理学者 福島 章 上智大学名誉教授)


 日記を書き始めておよそ1週間後、ある人物の名前が出てきます。


 「7月3日、今日は本の紹介をします。『グレアム・ヤング毒殺日記』尊敬する人の伝記」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 グレアム・ヤングとは実在した人物で、14歳のときに義理の母親を毒殺、その後も周囲の人間を次々と毒殺して、1960年代のイギリスを震撼させました。


 「『ヤングのしたことは犯罪だ』とは考えないで、むしろ『毒薬で人間の生死を支配した力を持った人間だ』というふうに尊敬して理想化の対象としてしまった」(犯罪心理学者 福島 章 上智大学名誉教授)


 ブログには、ごく普通の高校生を思わせる記述もあります。


 「7月22日、炎天。今日は野球応援に行ってきました。学校主催の応援で強制参加です」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 女子生徒が通っていた高校に問い合わせると、実際にこの日、高校野球の県予選大会の応援に行っていたということです。


 8月頃から徐々に薬品についての記述が増え、問題のタリウムの記述が登場します。


 「8月18日、今日、薬局から電話がありました。問屋が酢酸タリウムと酢酸カリウムを間違えたらしいです。待ちわびている・・・」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 別の薬局にも足を運んだ記述がありました。


 「8月24日、眩しいほどに晴れ。薬局のおじさんは『医薬用外劇物』の表示に気づかず、必要な書類を通すことなく、僕にそれを渡して・・・」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 実際に女子生徒がこの通りに「タリウム」を入手したかは、定かではありません。10月に入ると、母親の症状についての記述が始まります。


 「10月2日、母は入院した。父が呼んだ救急車で連れて行かれた。10月3日、今日は病院に行ってきた。ステロイドの影響だろうか、(母は)顔の腫れが目立っていた」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 そして、ブログは10月16日で終わっています。


 「母は幻覚を見始めたらしい。ドアのかたわらの白い影に悩まされていると言う」(女子生徒が書いたと見られるブログ)


 「(少女は)人間というのは、自分と同じように心を持っていて、同じように苦しんだり、嘆いたりするということが、想像することが出来ない性格の人なのではないでしょうか」(犯罪心理学者 福島 章 上智大学名誉教授)


 女子生徒の自宅の部屋からは、鳩など小動物の死骸も見つかっており、「どのくらい薬を投与したら死ぬのか」をパソコンに記録していたということです。