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高1女子を鑑定留置 静岡タリウム事件

 劇物タリウムを摂取させ、母親を殺害しようとしたとして、静岡県の高校1年生の女子生徒(16)が殺人未遂の疑いで逮捕された事件で、静岡地検沼津支部は14日、生徒の鑑定留置を沼津簡易裁判所に請求し、認められた。期間は来年2月17日までの約3カ月間。専門医が生徒の精神状態を調べる。


 生徒はタリウムを薬局で購入したことや小瓶に入れて持ち歩いていたこと、特定の人物への薬物投与とその後の観察を題材にした日記形式の文書を書き、パソコンに残していたことなどは認めているが、逮捕容疑は否認している。


 取り調べに対しては、化学についての雑談などには応じるものの、タリウムを母親に飲ませたかどうかなど話題が逮捕容疑に及ぶと落ち着いた態度が一変し、自分の名前をあげて「○○はもういない」などと言いだすこともあるという。


 また、日記形式の文書やそれを転載したとされるインターネット上の書き込みでは自分を「僕」と表記し、10月20日ごろに家族から犯行を疑われた直後には睡眠導入剤と見られる薬物を飲んで入院している。


 一連の記述内容や生徒の態度には不可解な点も多いといい、捜査当局は精神的な病理に基づくものかどうかを専門的に調べる必要があると判断した。事件が家裁に送られた後、検察側に逆送されて起訴された場合は、公判で生徒の刑事責任能力の有無が大きな争点になることも予想され、早い段階で責任能力を見極めておくべきだという判断もあったと見られる。


 鑑定留置は捜査機関の求めに応じ、裁判所が鑑定留置状を出したうえで、被告や容疑者を病院などに一定期間留置し、調べる手続き。
2005年11月14日 19時23分