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「僕が入れたのだ」タリウム事件、パソコンに日記風文書

 静岡県の高校1年の女子生徒(16)が母親を劇物タリウムで殺害しようとしたとされる殺人未遂容疑事件で、生徒のパソコンから特定の人物への薬物の投与とその影響の観察を題材とした文書が見つかっていたことがわかった。文書には母親の容体が悪化した経過と一致する記述が複数あり、静岡県警は生徒が母親にタリウムを摂取させた状況を記録していた可能性があるとみて調べている。


 文書は、生徒が書いたと見られているインターネット上の書き込み「ブログ」とは異なり、生徒の自宅の部屋から押収したパソコンに残されていた。フォルダー名は「真実の口」。「僕」が「Atom」という人物に対し、薬物を指すと見られる「碧(みどり)の小枝」を飲ませる内容で、日記のように日付を追って記述された形をとっている。


 県警は「僕」が生徒本人、「Atom」が母親、「碧の小枝」は酢酸タリウムを表しているとみている。


 文書の中で「僕」は食べ物に混ぜるなどして「Atom」に「碧の小枝」を摂取させ、「足が痛いと訴えている。当たり前だ(中略)僕が入れたのだ、試すために」などとした。「Atom」が入院した後も薬物を飲ませ続けた様子を描き、10月4日の項には、苦しむ原因を知っているが「言えないし、言わない」と記していた。


 女子生徒は容疑を否認しており、文書を生徒が書いていても空想や妄想が含まれている可能性もある。しかし、例えば母親が救急車で病院に運ばれたのと同じ、「10月2日」の項に「Atomが入院した。父が呼んだ救急車で連れて行かれた」と書かれているなど、一連の文書の記述は、県警の捜査で明らかになった事実と次々に一致した。
(2005年11月11日08時11分)